筑波大学附属病院 腎臓内科
Department of Nephrology, University of Tsukuba Hospital
筑波大学医学医療系 臨床医学域 腎臓内科学
Department of Nephrology, Faculty of Medicine, University of Tsukuba
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻 腎臓内科学分野
Majors of Medical Sciences, Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba
研究課題名:急速進行性糸球体腎炎の全国症例疫学調査(2016-2019年度)
急速進行性糸球体腎炎 (RPGN)について
「急速進行性糸球体腎炎」は急速に腎臓の働きが失われ、個人差はありますが、しばしば数ヶ月以内に腎不全となり透析療法が必要となることの多い最も重篤な糸球体腎炎であるといわれています。また、しばしば腎臓だけでなく、肺やその他全身臓器にも炎症が及び、肺出血や肺炎など生命に危険を及ぼす障害を併発してくることがいわれています。この病気は、細い血管が鞠状にかたまった腎臓の糸球体といわれる場所の血管壁に炎症が起こることにより発症します。
その結果、尿を産生する元となる腎臓の糸球体に強い炎症がおこり、糸球体そのものが壊れ、機能が無くなり、体に貯まった老廃物や水分の排泄が低下していきます。ただし、この病気は比較的まれな病気であり、この病気により日本全国でわずか年間1,500人前後の方が病院を受診されているにすぎません。従って、国内の各施設単独では十分な症例の調査が進まないため、この病気の予後や治療法に関してのまとまった統計はとりにくい状況があります。
これまでの調査の結果から、急速進行性糸球体腎炎は、国や人種によりその病型の頻度が異なることが分かってきています。さらに、病型によってはこの病気にかかる年代が明らかに異なり、その治療法も各病型により異なります。従って、わが国独自の調査により、本疾患の予後調査を行うことと同時に、わが国独自で最適な治療法を開発していく必要があります。
①研究の目的
急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の日本全国の実態調査、治療法の調査を行うために、全国の主要腎疾患診療施設において、急速進行性糸球体腎炎の症例調査を行います。全国から寄せられた調査結果を元に統計解析を行い、この病気にかかりやすい年齢や病型、ならびに治療方法と予後との関連を調べます。その結果は治療法のガイドラインとしてまとめ、全国の同じ病気にかかる(かかっている)患者様の治療に役立てていただくための資料となります。
②研究対象者
2016年~2019年度の間に新規に発症した急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の患者様となります。
③研究期間
筑波大学腎臓内科を事務局として、2022年度内に全国の各腎疾患診療機関宛てにアンケートの送付と回収を行い、およそ2年程度で(2025年3月31日予定)研究を完了する予定です。
④研究の方法
全国調査に関しては、難治性腎障害に関する調査研究班疫学分科会による全国疫学1次調査の結果を踏まえて2次調査を行う2段階で行っています。具体的には、1次調査では、ある一定期間内(今回は2016年~2019年度となります。)の間で新規に発症した急速進行性糸球体腎炎の数を全国の各腎疾患診療機関に確認します(すでに確認作業を終えています)。2次調査では、1次調査の結果をもとに個々の原因や治療内容、経過などに関する情報をアンケート形式で各腎疾患診療機関から回答頂いております。
⑤アンケートの検討項目内容
発症時の年齢、性別、原因疾患、肺病変の有無、診断時の腎機能(血清クレアチニン値)、ヘモグロビン濃度、血清CRP値、血清MPO-ANCA値、PR3-ANCA値、抗GBM抗体値、初期あるいは全経過中の治療の内容(副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤)、全経過中のアフェレシス療法(有無、種類)、透析の有無(離脱、維持透析)、再発/再燃の有無、転帰、死亡の場合には死因、最終血清クレアチニン値。
⑥調査に関するプライバシーの保護
本調査はこれまでに皆様が診療を受けた際のカルテの記録を元に調査が行われます。新たな検査や治療法等を行うものではありません。上に記載した通り、各患者様の診療内容(診断、治療内容や予後などの詳細)が調査されます。個人の特定に直結するデータ調査はありませんが、研究が終了した時点で資料は責任を持ってすべて削除、廃棄します。
⑦調査研究対象者の権利に関して情報が欲しい場合、調査研究に同意されない場合等各種の質問の際に連絡をとるべき相談窓口
この研究の対象となっている可能性がある急速進行性糸球体腎炎(RPGN)にかかっている患者様で、調査内容および研究対象者の権利に関してさらに詳しい情報が欲しい場合やその他何かお聞きになりたいことがありましたら、どうぞ遠慮なくいつでもご連絡ください。連絡をとる担当者は下記のとおりです。また、そのうえで調査研究に同意されない場合には、分析対象から除外いたします。
⑧問合せ・苦情等の相談窓口(連絡先)
職名:筑波大学附属病院腎臓内科 教授
氏名:山縣 邦弘
連絡先:〒305-8576 茨城県つくば市天久保2-1-1
Tel:029-853-3613(腎臓内科外来:9-17時)
以上のことをご理解いただき、今後ともこの疫学調査にご協力いただきたく、よろしくお願いいたします。
令和4年xx月
〒305-8575
つくば市天王台1-1-1
筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科学
研究代表者 厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業
難治性腎障害に関する調査研究班分担研究者
急速進行性糸球体腎炎ワーキンググループ
山縣 邦弘
情報提供機関 治性腎障害に関する調査研究班疫学分科会による全国疫学1次調査に御回答いただいた全国腎疾患医療機関、429施設(当院を含む)