筑波大学附属病院 腎臓内科
Department of Nephrology, University of Tsukuba Hospital
筑波大学医学医療系 臨床医学域 腎臓内科学
Department of Nephrology, Faculty of Medicine, University of Tsukuba
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻 腎臓内科学分野
Majors of Medical Sciences, Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba

<座談会> 筑波大学腎臓内科の後期研修について教えてください
-自己紹介-
甲斐:みなさんこんにちは。私は座談会の進行を担当しますスタッフの甲斐です。今日の座談会は、全国の医学生や初期研修医のみなさまに向けて筑波大学腎臓内科での後期研修を紹介するために企画しました。各自、自己紹介をお願いします。私は関東の出身です。筑波大学への入学を機に茨城県にきました。そこからすでに30年ほど経ちました。腎臓内科では多発性嚢胞腎などの難治性腎疾患を中心に担当しています。
西田:チーフレジデント(卒後6年目)の西田です(女性)。私は、海外の大学を卒業後、初期研修は筑波大学附属病院のプログラムに入り茨城県内の複数施設で研修しました。研修3年目より腎臓内科グループで研修をしてきました。本日はよろしくお願いします。
※筑波大学附属病院のレジデント研修は6年間で構成されています。初期研修医をジュニアレジデント(J1、2)、後期研修医3、4年目をシニアレジデント(S1、2)、後期研修医5、6年目をチーフレジデント(C1、2)と呼んでいます。
原田:チーフレジデント(卒後5年目)の原田です(男性)。関東の出身です。筑波大学を卒業し、母校で初期研修を行い、腎臓内科で研修を行っています。茨城県にはとても愛着があります。
中島:シニアレジデント(卒後4年目)の中島です(男性)。関東の出身です。東北地方の大学を卒業し、初期研修は筑波大学附属病院のプログラムに入り茨城県内の複数施設で研修しました。
高柳:私は中島先生と同期のシニアレジデント(卒後4年目)です(女性)。関東の出身です。筑波大学出身で、私も初期研修は筑波大学附属病院のプログラムで研修しました。
甲斐:皆様本日は初期研修医の先生や学生さんに伝えたいことをざっくばらんに話してくださいね(笑)。
一同:わかりました(笑&汗)。
※2020年4月現在、筑波大学附属病院腎臓内科後期研修医は16名、うちチーフレジデントは9名、シニアレジデントは7名です。年によって変わりますが女性は30~50%くらい。卒業大学は筑波大学が約半数です。また育児中の医師は2名です。
-志望動機-
甲斐:腎臓内科を選んだ理由を教えてもらえますか。
西田:私は理想とする医師像としては、<どのような疾患でもある程度自分で診れる医師>でした。したがって後期研修の進路としては内科志望でした。また、手を動かす仕事にある程度関わりたかったことと、末期がんはとても苦手でした。腎臓内科はシャント手術や経皮血管拡張術(PTA)などの手技も多彩であり、最終的に腎臓の機能が廃絶してしまった場合でも透析や移植(腎代替療法)が存在するため心強く、気持ちが楽でした。
原田:私も学生時代からなんとなく自分は内科医になるものだと考えていました。腎臓内科は手技が多彩であること、持続的血液濾過透析(CHDF)や血漿交換(PE)といった急性期加療に積極的に携わることが出来ること、腎不全や電解質異常の原因に関してじっくり腰を据えて考えたりすることなど、とても守備範囲が広いと思います。私自身いわゆるオールラウンダーな医師に憧れがあり、腎臓内科はまさにぴったりな科でした。また、逆に維持透析患者の外来管理やバスキュラー・アクセスの管理、生体腎移植患者のフォローなど更なる専門性に特化することも出来るため、自分のライフスタイルにあわせた医師生活の選択をいつでも行うことが出来るということも魅力の1つだと思います。
甲斐:腎臓内科の志望動機として、疾患が多彩であり、全身管理を得意とすること、手技が多彩であることを挙げる先生が多いですね。シニアレジデントの先生方はいかがですか?
中島:私は腎病理が好きだったことが腎臓内科を選んだきっかけです。初期研修医の時に腎炎やネフローゼ症候群の診断や治療に魅力を感じました。また、電解質の管理なども大変勉強になりました。将来的には腎移植にも携わってみたいです。
高柳:私も腎臓内科として取り扱う疾患・分野が多岐にわたること、一方で腎臓以外の分野との関わりが多く内科一般の診療能力を磨けると感じたことが最大の理由です。また家庭を持ちながら生涯現役で働くことを最優先に考えていたので、急性期病院から透析室業務まで幅広い働き方がある点にも惹かれました。
甲斐:志望理由はさまざまですね。腎臓内科の取り扱う疾患は非常に多岐に渡っています。検診・検尿に始まり、腎炎、高血圧、糖尿病、膠原病・血管炎、遺伝性疾患、水電解質異常から、透析、移植まで、筑波大学では腎臓病の自然歴の全経過を診療の対象としています。また、透析診療は患者診察だけでなく、内シャント手術やPTAを自分達で行っているのも筑波大学の大きな特徴だと思います。指導医である腎臓内科スタッフの多くが日本腎臓学会のガイドライン作成にかかわっていることもEBMに基づいた診断・治療を行っていくうえで心強いですね。
-研修生活-
甲斐:後期研修の実際の内容について教えていただけますか。
高柳:私は卒後3年目に内科ローテートを希望したため、腎臓内科としては附属病院で3か月間のみ研修しました。腎炎・ネフローゼの症例が集まっていること、腎移植を診られること、経過や病態が複雑な症例が多いことが特徴だと思います。後期研修に入りたてで日々の業務に必死でしたが、回診やカンファレンスでの学びが多く充実した期間でした。4年目になった現在は関連病院で研修しています。外来血液透析の管理や、腹膜透析の導入・管理を学べるのがこの病院の長所です。透析医療は看護師さん,臨床工学技士さん,栄養士さんなど多職種の協力が必要不可欠です。たくさんのコメディカルたちと知識や経験を持ち寄ってより良い医療を提供していくことに大変なやりがいを感じています。
甲斐:附属病院と関連病院での研修内容の違いについてはどうですか?
原田:関連病院ではシャント手術やPTA、腎生検、緊急透析等の手技を多く経験することが出来ました。また、外来では健診異常患者等の新患患者への対応を学ぶことが出来ました。また、当直等も経験することで一般的な内科疾患への対応力が向上しました。筑波大学附属病院では腎炎や腎移植など関連病院ではあまり経験できない症例を多く経験しました。また、他科にも稀少疾患の患者が多くいるため、これらの稀少疾患のアフェレーシス等も担当することが出来ました。また、毎週開催される症例カンファレンスでは症例のまとめ方を学びつつ最新の知見を得ることが出来て非常に勉強になる時間でした。多忙な日もありますが、着実に自分の実力が上がっていることが実感できるため、充実した日々を過ごせています。
甲斐:大学病院で研修することの大きなメリットは、臨床医・研究者・教育者といった多岐に渡る医師の進路のほぼ全てを自分の目で確認する機会を持てることだと思います。研修後に目指していく医師像は各自さまざまですが、中島先生はどのようなことがやりがいとして感じますか?
中島:今はとにかく受け持った症例を一例ずつ勉強しています.手技、知識、患者さんへの説明などまだ不十分な部分が多いと思いますが、少しずつ出来るようになれれば良いと思います。やりがいは、<腎機能が回復した>と患者さんに説明して喜んでもらった時ですね。今のところは.全員が全員そうではないのですが。
甲斐:研究をしてみたい先生はいますか?
一同:機会があれば、やってみたいです。
甲斐:新しいことを発見したい、臨床医としての視野をより広げてみたいと思っている人には研究は良いと思います。現在、博士課程の大学院生は、4年次2名、3年次2名、1年次3名が進学しています。うち1名が基礎医学研究、5名が臨床研究、1名が基礎医学と臨床の両方の研究を行っています。また、5名は各病院に医師として勤務しながら、研究しています。
※筑波大学附属病院には、レジデント業務と大学院博士課程を兼務できるアカデミック・レジデント制度があります。
-ダイバーシティ、特に女性医師支援に関して-
甲斐:西田先生はご結婚され育児も頑張っていらっしゃいますね。研修中の子育てや仕事のサポートはいかがですか?
西田:そうですね、筑波大学附属病院、茨城西南医療センター病院でも女性医師支援が充実していて、困ったことはありませんでした。周りの先生方の優しさに甘えて、産休育休の期間や当直なしなど、希望したことはすべて叶えて頂いている状況です。心配なのは、学年だけ上がっていますが能力が追い付かないことと、周りへのご迷惑ですが。結局はそれさえも甘えてしまい、気負いなく研修させて頂いております。
甲斐:女性医師は医師研修と結婚・出産のタイミングが重なることがしばしばです。医師研修(仕事)と家庭(育児)の両立に苦労してきました。ひと昔前までは、多くの女性医師が医師研修を中断せざるを得なかったですし、育児がひと段落しても常勤医への復帰はためらってしまう傾向にあったと思います。ようやく最近では、勤務と育児を両立している女性医師が増えてきましたね。我々のグループの場合、がんばって育児に参加している男性医師もいます。各病院は出産・育児休暇や当直勤務の免除を含む受け入れ体制ができつつあり、指導医の方々の理解もだいぶ進んできました。ちなみに筑波大学には保育園が併設されていており、その保育園を利用できているのは助かっているようです。そして、附属病院勤務と3児の育児を両立しているスタッフもいます。女性医師が後期研修を行っていく中で良い相談相手になってもらえると思いますよ。
※筑波大学附属病院には、女性医師看護師キャリアアップ支援システムがあります。
※茨城西南医療センター病院は県西地域の総合病院であり、筑波大学腎臓内科の基幹病院です。
-医学生・初期研修医に一言-
甲斐:最後に、医学生・初期研修医の方々にアドバイスをお願いしてもよいですか。
高柳:医学生のみなさんは、初期研修のローテートを決めるときには是非腎臓内科の研修を組み込んでみて下さい。体液管理や透析患者の見方など、どの診療科に進んでも役に立つ知識が得られるはずです。初期研修医のみなさんの中には、診療科の選択に悩んでいる方もいらっしゃると思います。自分のやりたいことを大切にして,満足のいく選択ができるように応援しています。少しでも腎臓内科に興味があれば、お気軽に声をかけて下さい。お待ちしております。
西田:各診療科の実際診療に参加して、自分に何が適しているのか、どんな仕事をしたいのか、初期研修2年目までに見つけられれば良いでしょう。 腎臓内科は面倒見の良い優しい先生たちばかりです。仕事内容に興味さえありましたら、人間関係で困ることはないと思います。
中島:実際に触れてみると腎臓病は思っていた以上に楽しいと思うので是非,腎臓内科をローテーションして欲しいです。腎臓内科で何か一つでも面白いと思ったら是非腎臓内科で一緒に働きましょう.
原田:僕は学生時代には腎臓内科の領域は何となく小難しく、とっつきにくい印象がありました。同じような印象を抱いている方も少なくないかと思います。しかし、実際に腎臓内科を研修(実習)するとその印象は180度変わります。「百聞は一見にしかず」です。是非一度研修で腎臓内科を選んでみてください。
甲斐:本日はお忙しいところありがとうございました。
★この座談会は、2020年11月、オンラインにて行われました。筑波大学腎臓内科に興味をお持ちの医学生・研修医の方々、診療見学に来てみませんか。